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タバコと脳




たばこの害
近年、タバコの害についてはもはや誰もが知ることとなり、今や禁煙は世界的なムーブメントとして、特に先進国の間には禁煙は当たり前な常識として、公共の場での喫煙などを全面的に禁止している所も少なくありません。日本でも、都心の多くの場所では歩きタバコ禁止が当たり前になってきていますし、会社などでもタバコを吸うときは外や喫煙室でというところがほとんどになってきていると思われ、愛煙家にはますます厳しい情勢となってきています。
かく言う私も煙草は嗜みますので大きいことは言えないのかもしれませんが、煙草の害についてこれほど研究されている中で、煙草の害を考えれば、世の中の禁煙傾向が進むのは当たり前の事でしょう。ここでは主に脳に与える影響などを中心に煙草が心身に与える影響を紹介したいと思います。
煙草には主に主流煙(喫煙者が煙草から直接吸い込む酸性の煙)と副流煙(煙草の先から立ち上る煙でアルカリ性。有害物質もフィルターを通していない分多い。)があり、近年は副流煙による受動喫煙が、他人に与える煙草の害としてより問題視されています。
煙草に含まれる有害物質は200種類以上あると言われ、中でも特にニコチンタール一酸化炭素が煙草の3大有害物質として注目されています。煙草箱の横にはニコチンとタールの含有量が表示されているところからも、これらの有害性が分かると思いますが、反面、これらは煙草の味や中毒性にも関わるもので、煙草の成分としてははずす事の出来ない部分です。

ニコチンは「毒物及び劇物取締法」に明記されている毒物でありとくに中枢神経や脳に影響を与え、精神作用も大きい物質です。他に血圧上昇、末梢血管の収縮、心収縮力の増加など心臓や血管系にも悪影響を及ぼします。中毒量は1〜4mg、致死量は30〜60mgで、これは強力な毒と同等のレベルです。煙草を吸うときは煙を介してであるため致死量程度は入りませんが、毎年幼児の誤飲などで犠牲者を出すほどの毒と言えます。幼児の場合、やく1本の煙草で致死量に至ると言われています。 ニコチンは、脳関門を容易にすり抜けるため、脳に直接作用します。特に快楽を司るカ所に影響を及ぼすため、煙草をすうことで、快楽を感じ、依存する要因になります。

タールは直接DNAに影響を与え、発ガン性を持ちます。主に呼吸器系の癌との関わりが深く、煙草と癌の(特に肺ガン)との関係はかなり強力な因果関係があるとのデータが様々な研究期間から出ています。また、胃腸やその他の部位での癌との関係性も多く指摘されています。

一酸化炭素は血液中のヘモグロビンの酸素運搬能力を激減させ全身の酸素欠乏を起こさせます。虚血性心疾患、末梢動脈疾患、慢性呼吸器疾患、さらに妊娠時の胎兄への影響などが心配されています。また、血中の酸素が減るため、酸素を多く必要とする脳にも悪影響を及ぼします。


煙草と脳の害
煙草の脳に与える害の多くはニコチンによるものでしょう。ニコチンは脳関門をすり抜け脳に直接作用します。脳に入ったニコチンは脳に快楽を覚えさせすっきりしたような感覚を与えます。ニコチンが切れるとこのすっきり感は収まりますが、逆にこれが依存を与え、時には中毒まで発展させてしまうのです。
実際煙草を吸うと10秒ほどで脳に影響をあたえ、その間、脳は覚醒を高め、集中力を増し、すっきりした気分になります。しかし、これらは約10分程度で無くなり、元に戻ります。この覚醒作用と、即効性が合わさるとより依存性が高くなり、ニコチンを求めるようになります。煙草を辞められなくなるのはこのような作用からなのです。
しかし、この一方、煙草には一酸化炭素による血流の減少効果と酸素欠乏を招く効果もあります。これらは、ニコチンとは逆に脳に倦怠感ややる気の減少をもたらし、鬱状態に近い状況を作ります。実際、鬱病患者は喫煙者の割合が多いとの結果が出ています。(ただし、鬱になると煙草を求める傾向が高いとのリサーチ結果もあり、煙草を吸うと鬱になりやすいのか、鬱になると煙草を吸うので割合が高まるのかは定かではありません。いずれにせよ、煙草は心の状態に作用されやすいものであるのでしょう。)
つまり、煙草を吸うと脳は一時的に覚醒されすっきりしたような感じになりますが、すぐにやる気の減少などをもたらしてしまいます。

また、脳は、脳細胞の死を早め、脳の老化を促してしまうとの研究結果もあるようです。実際に煙草を吸う事によりアルツハイマー性の脳の萎縮が起こりやすくなるとのデータもあるようです。
一時期、煙草を吸う事によりボケを防げるなどの風説があった事がありましたが、現在の研究では全く逆の結果が得られているようです。

やはり脳にとっても体にとっても禁煙するのが一番のようです。


禁煙をする
ここまで脳にとっても体にとっても喫煙が良くない事は書いてきましたが、では禁煙するためにはどうすればよいでしょう。
私自身、未だ完全禁煙には至っていませんので、他からの情報などに頼ってしまうので恐縮ですが・・・。

その前に禁煙する事による、利点などを今一度おさらいです。
基本的には、禁煙することにより、多くの喫煙が要因の一部である多くの病気の確率を減らす事が出来ます(高血圧、喘息、動脈硬化、心臓病、各種癌など)。また、一酸化炭素やニコチンにより起こっていた本人にも自覚がない不健康状態が改善されて、それらが睡眠の改善や、それにともなう日中の爽快感、又、肌の艶や、男性なら精力の増加などによって自覚されるようになります。
脳に関して言えば、主に集中力や記憶力の増加などが見られ、将来的な痴呆の発生の確立を低くするなど利点は大きいです。
さらに、口臭が減り、又、慢性的にあった衣類への臭いの付着なども無くなり、対人関係にも利点があるでしょう。特に、まわりに副流煙を吸わせずにすむのは大きいことです。

禁煙方法
長年喫煙してきた人にとっては禁煙することは相当な苦痛でしょう。毎年のように禁煙を試みても毎回挫折してしまう。そんな方、周りにいないでしょうか?
禁煙するに当たり、本気であるなら、もっともお勧めしたいのは最近、一部病院などで増えている禁煙セラピーなどを訪ねてみるのが良いと思います。禁煙外来などがある病院も増えています。
しかし、そこまでしたくない、自力で禁煙したいと言う方は、まずは自分のタイプを気にしてみた方がいいかもしれません。
禁煙には大きく2種類あります。1つは、すこしずつ本数を減らしていき、最終的には0にしてしまおうと言う者です。もともと一日に1箱も吸わないようなロースモーカーに向いているかもしれません。ちなみに私はこの方法で順調に禁煙に近づいています。この方法は、時間は掛かるもののそれほど多くの苦痛をもたず、自然に禁煙できることです。
もう一つが、一気に煙草を辞めてしまう方法です。この方法はかなりの強い意志がひつようで強い離脱症状(禁断症状)と戦う気構えが必要です。少しづつ本数を減らしていく方法では、すぐに吸ってしまうヘビースモーカーの方に(合っているとはいいませんが)必要な方法かもしれません。


〈徐々に本数を減らす場合〉
徐々に本数を減らす場合は、焦らずにじっくり取り組む事が大切です。最初は公共の場所や室内では絶対にすわないなどの敷居をもうけて、減らしていきます。そのうち食後は吸わない、休み時間にしかすわないなど少しづつ敷居を高くし減らしていきます。また、吸っても一口二口程度にして、満足します。肝心なのは焦らない事で、半年〜数年かける気持ちで無理せず続ける事です。そのうち吸わなくともイライラせず過ごせるようになるようです。
この場合のコツは、煙草は本数を減らすだけで、軽い煙草に切り替えたりはしないほうが良いようです。軽い煙草にすると、逆に本数が増えたりすることが多く起こります。軽い煙草に切り替えるのは最後の最後でいいでしょう。

〈一気に禁煙する場合〉
一気に禁煙する場合、強い離脱症状(禁断症状)と戦う必要があります。コツは吸わないと決めたら煙草も灰皿も捨て、また仲間にも公言してしてしまうことで自分を追い込んでいくことです。この方法の場合、一本だけ、が致命傷になり元の木阿弥なんてことも多いので中途半端な妥協は禁物です。
一般に禁煙に際して禁断症状の大きい時期を、〈3時間〉〈3日〉〈3週間〉〈3ヶ月〉などと言い、ここを乗り切ることが重要と言われていますが、実際は多くの場合離脱症状(禁断症状)は長くとも禁煙開始から2〜3週間で収まることが多いと言われているので、最低でも〈3週間〉を目標に頑張ってみる事が重要です。 ちなみに禁煙における離脱症状とは主に

1。イライラ感や激しい喫煙欲求
2。眠気や倦怠感、ボーっとなる
3。頭痛 、軽い鬱状態

などがあります。とくに離脱症状が辛いのが最初の3日間で、この間に挫折してしまう人が多いのが実情です。
禁煙補助製品(ニコレット、ニコチンガムなど)を利用するのもいいですが、あくまで補助であり、劇的に離脱症状がなくなる等はありませんので、あくまで基本は自分の意志だと理解してください。
コツとしては、まずお酒を控える事があります。お酒を飲むと意志が弱まってしまうので、なるべく飲み会などは避けた方がよいでしょう。どうしても飲みに行かねばらないのなら、事前に仲間に絶対に勧めないよう、煙草をあげないようにお願いしましょう。また、思い切って煙草やライター、灰皿などは全部捨ててしまいましょう。捨てる事が一種の儀式となり意志を強める結果となります。
そして一番大事な事は失敗しても諦めずまた始めるということです。





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